次に、この人は大人だと思った。



あぁ…。怒るのってこんなに疲れるんだ。久しぶりで忘れてたなー。
「怒ったり、泣いたり、笑ったりしてっとー生きてるんだなーって実感するだろ?」
男は横目で私を見た。私はとっさに目を逸らした。私に向けられた目があまりに真っすぐだったから…。
【この人、大人だ。わざと私を怒らせた】
心の中でボンヤリと思った。
「当たり前だろ。俺は少なくともお前より長く生きてんだからよ!」
男は私の心を見透かしたように言う。
「…あなた何なの?」
「俺?俺は……通りすがりの高校生だ!」
「ぇ!高校生!?」
髪は金髪、片耳にピァス、口には煙草…確かに身なりとしては高校生のようだ。でも、中身は大人な人だと思う。

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