美和子が私の隣で叫んでた。
「聞いてるよ。」
私は土崎に追い回されながら答える。
美和子は小さく苦笑しながらそれを見ていて、その瞳は2年前と変わらず暖かかった。
2年と少しかかった、扉を開くまでの時間。
許す事、それは簡単ではないけど大切な事。
今は私がかつて生きていた虚構の世界は全て消し去った。
一度クリックすれば、呆気なく消えてしまう儚い世界。
そんな世界で生きていた私が今、この高校の正門を美和子とそして土崎とくぐる。
そこは重い重い扉をようやく開け放した、境界線だった。
=扉= end
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