夏希は私を真正面から見つめる。その夏希の薄い瞳に私の姿が映っていた。
「俺の全ておまえにやるよ。たとえこの指を失したとしても、さくらの為なら別に構わねぇし」
夏希の一番大切な指。ピアノへの夏希の想いからしてその言葉の重みはいくら鈍感な私でも、察した。
優しく髪を撫でられる中、私の頭ではあの曲が流れていた。
夏希の指が奏でる、あの曲。
White Tiny Fairy
…私はいつまでも、あなたのものよ
私は夏希にも聞こえないほど小さな声で静かにそっと呟いた
*end*
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