6.笑顔の先
「それで、それで!?どうなったの!?」
娘は私に続きをせがんだ。
「…さあ、どうなったんだろうね。忘れちゃった。歳かしら。」
「えー!ここまで話しといて結末忘れたのぉ!?しかも歳って、ママ、パパより9つも若いじゃんかぁ!」
娘は喚いた。
「…あ、ママもう仕事行かなきゃ。」
私は立ち上がった。
「えぇ!?本当に言い逃げ!?じゃあせめて!せめて話の題名思い出して!私、買ってくるから!」
私は曖昧に微笑んだ。売っているわけがない。
だってこれは……
「…パパに聞いてみなさい。パパも知ってる話だから。」
「本当!?パパー!」
娘は未だ夢の中であろうパパを叩き起こしに行った。
私はその姿を見送ると玄関へと向かった。
「行ってきます。」
一言呟いて家を出た。
表札には『綾瀬』の文字がある。
END
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