『まったく男子ってば!あんなののどこが…!』
『そう言えば今朝、高瀬様と葵様も楽しそうに談笑してらしたわ!』
『まぁ!高瀬様が!?女性とは、悠紀様か羽衣様としか会話なさらないのに!』
『えぇ。でも私、納得もしましたわ。その相手、悠紀様と同じ長い黒髪で美人な方でしたのよ』
『まぁ…あっ!悠紀様!』

悠紀は登校してきたばかりだったが、二人の会話をばっちり聞いていた。

『悠紀様、鈴蘭の生徒!もう我慢なりませんわ!』
『そうですわ!悠紀様!高瀬様もほだされてしまいましたのよ!』

悠紀は二人の剣幕に押されたが、持ち前の穏やかさで宥める。
「落ち着いて下さい。偏った見方は良くありません。もう授業も始まりますし、教室へ入りましょう?」
女生徒二人は渋々従う。

『…悠紀様は動じませんのね。』
女生徒の呟きに悠紀はふわっと笑っただけだった。

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