高等部。
教室棟5Fの廊下突き当たりに生徒会室がある。

「ぎゃはは!なんじゃそりゃ!!」
期末試験も終わった夏休み間近の7月。放課後、男の笑い声が生徒会室から響いた。
声の主は加賀葵。期末順位6位のA組生。背は高く、なかなかの美丈夫だ。家は日本の経済界を裏で牛耳るヤクザである。

「わっ笑わないでよぅ…僕だって嫌って言ったんだよぅ。なのに…」
その葵と話しているのが仙道秋彦。中性的な容姿の男の子。両親は世界的に有名なヴァイオリニストと指揮者で、自身も中学まで音楽科のある高校に通っていた。期末は51位。B組生である。

さっきから期末順位やA組B組言っているが、これがこの学園での実力を測るバロメーターである。一ノ瀬学園高等部では中間、期末試験の結果が出るたびにクラスが変わる。各学年上位40名ごとにABC…とクラスが区切られていく。A組に入ることは多くの生徒の目標である。なぜならA組入りの回数が多い人間ほどよい待遇が受けられ、社交界でもよいビジネスの話が舞い込んだりするからである。家を大きくするチャンスだ。

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