「なに泣いてんだょ…お前が泣いてどぅする」
声は落ち着きを保とうとしていたが、夏川くんは明らかに焦っている。
「…だって感動するじゃん。自分と同じ気持ちの人がいるんだょ?辛い気持ちをわかり合えるかもしれないし」
私が言うと、夏川くんはまた呆れ顔をした。
…と、彼はふいに微笑んで言った。
「本当、感受性が豊かだょな。春華は」
これって、一応褒め言葉?
…っていぅか、今『春華』って名前で呼ばなかった?!
けど、全然嫌じゃない。むしろその反対だょ。
「ありがとぅ」
久しぶりにこんなに笑った。
あなたのおかげで、私は笑顔に戻れた。…そんな気がするの。
だから私は伝えるょ
精一杯の『ありがとぅ』を…
< 93 >
[1]次へ
[2]戻る
[0]目次
Tag!小説
トホーム