「藍沢さん」
…突然、名前を呼ばれた。
「…夏川くん、どぅしたの?」
あんまり話したことない人だったから、驚いて思わず沈黙してしまった。
「ここ、俺の席なんだけど…」
「…へっ…?!」
あっ…そぅいえば昨日…。
席がえしたよぅな…。
「あっ…ゴメンね!席がえしたの、忘れてた!」
「……」
彼はしばらく沈黙した。
「席、覚えてる?」
「覚えてない」
「……はぁ……」
やっぱりというよぅに声つきのため息をつく。
「夏川くん、お願いします!教えて下さい!」
私はそぅ言って頭をさげた。
…『席教えてもらうのにそこまでしなくても…』と突っ込みたくなるよぅな光景だ。
「…この列の一番後ろ。」
そっけない声で夏川くんは言った。
私はその席へと急いだ。
席について周りを眺める。
まずは隣。
…沙紀ちゃんだ。
そして後ろ…はいないんだった。
前は…。
…!
私は息を呑んだ。
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