「うん…いいけど…。…ねぇ西崎くん！ここだと皆に見られるから早く行こ！」
ｱｲﾂはやけに早足で、急いで教室を出た。腕を引っ張られた俺は、ほとんど引きずって行かれた状態だった。
「…ｺﾞﾒﾝね…痛かったでしょ？」
校門まで来た時、ようやく手を放した雪奈がそぅ聞いた。
「…かなり」
「本当にｺﾞﾒﾝね！」
彼女があまりにすまなさそぅに謝るので
「いいんだけどさ…何があったの？」
と聞いてみた。
「あの…たいしたことじゃないんだ。ただ…春華ちゃんが…」
「春華…？」
「あっ…ううん！何でもないの、今のは気にしないで！…それより…」
雪奈は慌てて、別の話題をはじめた。その話をするのを避けているよぅだ。
…まぁいいか。そこまでして聞く必要もない。言いたくなったらそのうち言うだろぅ。
…しかし、それより後、雪奈は一度もその話には触れなかった。
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