5-2.気持ち〜yukina〜
あの文化祭から、私と夏川くんはよく一緒にいるよぅになった。別に何をするってわけでもないんだけど、一緒にいると居心地がいいからだ。多分、ちょっとした男友達って感覚なんだろぅ。

夏川くんは相変わらず無口で、いつも一人だった。
「ねぇ夏川くん」
私が話しかけると、彼は読んでいた本からちょっと目をあげて、
「何?」
といつもの迷惑そぅな声で言った。
「夏川くんは寂しくないの?」
「何が?」
「…一人になること」
「あぁ…別に」
棒読みに、あっさりと答える。
「怖くないの?私なら不安で耐えられないな…」
「慣れ…って奴かな」
彼は言った。その言葉に少し寂しそぅな響きがあった。
「最初は怖くてもさ…慣れればどぅでもよくなるんだょ」
「…怖いね。慣れって」
私は呟いた。
夏川くんは私にないものをいっぱい持ってる。私が見たことがない世界をいっぱい知ってる。そんな気がした。

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