5-1.気持ち〜kazuki〜
…変だ…。
さっきからずっと、頭の中にアイツがいる。
隣では彼女が笑ってるのに。ほしいモノは手に入れた…そのつもりだったのに。

_1年前。アイツとは入学した時から前後の席だった。たいして特徴のないヤツだ…といぅ印象だったのだが、周りの奴らはやたらとアイツの噂をしていた。

『美人だ』『カワイイ』『彼女にしたい』

…世間一般にはあぁいぅ顔を美人といぅのか…。

彼女の顔を、改めてまじまじと見つめながら俺は思った。

…違う。美人っていぅのは…。

あの一番前の席の『藍沢 春華』に決まってるだろぅ。俺はこの頃からコイツが好きだった。
…いわゆる、一目惚れってヤツをしてしまっていたのだ。

そして、その1年と数ヶ月後。春華は俺のものになった。
長い間の願いが叶ったのだから、普通なら嬉しいだろぅ。俺も最初は嬉しかったし、今だって、春華の彼氏でいられることが嬉しくないわけじゃない。

ただ…気になるのだ。
アイツ…『西村 雪奈』のことが。

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