―春樹視点―
__数日後。
偶然、結香と出かけていた時だ。
「春樹君!」
聞き覚えのある声が、呼び止めた。
「…由加…」
あぁ…何で…。
一番会いたくない奴がここにいるんだ?
「…デート?」
由加が結香をチラッと見て言う。
「まぁ…」
曖昧に答える。
「由加…ゴメンね」
結香はあやまる。きっと由加の気持ちを知ってるからだろぅ。
「あやまらなくていいょ。私…別に二人を責めにきたわけじゃないから」
由加が明るく言った。
それは、嫌みにも嫉妬にも聞こえなかった。
「ありがとぅ」
結香が笑い返す。
「よかったね」
ふいに由加が呟いた。
「え…」
「居場所が見つかって」
居場所…?
「ここなら…春樹君、安心して存在できるでしょ?」
そぅか…。
由加は今でも…。
「幸せになってね」
由加はそぅ言って微笑んだ。
そして、手をふって行ってしまった。

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