―由加視点―
その日、アイツは突然現れた。
いきなり家に入ってきたから、逃げよぅとしたら自殺と勘違いされて…。
そして、いろいろあって押し入れに住ませることになって。
それから…いろいろと助けてもらった。
そぅ。
私の隣にはいつもアイツがいた。
だから、いつしか側にいることが当たり前になって。
ずっと離れないはずだといぅ、思い込みまでできてしまった。
だから、アイツが突然消えた時は辛かった。
言葉にできない思いが、いっぱい溢れてきて、それが涙になって、私の頬を伝った。
離れてはじめてわかった。
自分がどれだけアイツを頼りにしていたか。
アイツをどれだけ好きだったか。

私は誰もいない押し入れ呟いた。
『ありがとぅ』

それはどんなに苦しいときも、悲しいときも、ずっと側にいてくれたアイツに、ずっと言えなかった言葉だった。

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