「お願いがあるんだけど…。抱き締めてもらえないかな?」

思い切って言ってみた。そうだ。ずっど望んでいた。寝室を掃除した理由かもしれない。抱き締めてほしい。私は藤野を見つめた。
彼は静かに笑った。大きく暖かい手が私の背中にまわる。『あぁ、これだ。』求めていたもの。藤野じゃなくてもいいのかもしれない。優しく大きく私を包んでくれるものなら…。
キスをするまでに時間は要らなかった。一気に頭に血が昇る。それでも、不思議と満たされていた。これもお酒の力なのか?

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