「悪りぃ、遅れた!」

「先輩に待たされるのは慣れてますよ」


日曜日―…青木先輩と夕食の約束。時間にルーズなのは学生の頃から変わってない。

ただ、あの頃は本当にめちゃくちゃな事をやってた人でいい加減な人だった。待たされる時間も三十分は当たり前。

それが十分程度になったのはやっぱり先輩が大人になった証拠かな?

「結構いい車乗ってるんですね」

「おー、まぁな」


最近はタクシーばっかりだったから、誰かの助手席に乗るのは久しぶりだ。

いい車はやっぱり座り心地が良い。

車内に流れる洋楽が青木先輩とあの人をダブらせる…。


「利砂子と飯とか久しぶりだよな」

「学生の時以来ですからね」

「あぁ、利砂子の化粧がケバかった時な」

「そうそう、先輩が金髪の色黒でサーフ系の時ですよ」


車で移動しながら昔の話に花を咲かせたりして、ちょっと高そうなレストランで食事。

あの人との記憶が戻ってくる。

トラウマにでもなってるのだろうか?何だか満たされない…。

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