「あいつ最近ずっと空元気で…バカな考えからの出会いだったけど、結構まじで好きみたいなんです」

「…そう」

「利砂子さんはあいつのこと…?」


その時ざぁっと風が吹いて、森田くんは私の言葉がうまく聞き取れなかったらしく「え?」と聞き返した。

タイミングのよすぎる風。
私自身に言い聞かすために吹いたの?


「休み時間なくなるから行くね。パーティーのことはまた連絡する」

「あ、はい」


物足りなさそうな顔の森田くんを背に一歩踏み出したが、私はくるりと振り返り一言付け足した。


「書類を拾うの手伝ってくれてありがとう」

「え?………あ!!」

「じゃぁ、また」

"覚えてたんですか!?"と言わんばかりの森田くんの表情に私は微笑しながらその場を去った。

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