「なーんか嬉しくなさそう」
真は顔を覗き込むように首を傾けながら聞いてくる。
「んー…何かさ、またあの人の流れの中へ戻るんだなーと思って」
私たちは大通りの方へ目をやった。相変わらず人々は忙しなく流れて行く。
少し茶色く染めたストレートロングの私の髪が風に揺れる。
「息抜きの時間も終わりってことやね」
真が呟くように言った。
「………息抜き?」
「人生どっかで息抜きの期間も必要やと思うねん。りさこさんはそれが今やったんじゃない?」
< 68 >
[1]次へ
[2]戻る
[0]目次
Tag!小説
トホーム