「あ、満月」
「え?」
人が真剣に話しているのにこの男は…。そう思いながら夜空を見上げてみる。
「現代人ってさ満月が一番きれいやと思ってるけど、昔の人は三日月が一番きれいやと思ったんやって」
「……ふーん」
「俺は三日月のが好きやな〜。人間とそっくり」
「なんで?」
「誰でも欠点はあるし、でもそれやから面白いやん?そこが三日月に似てるから」
言わなくちゃいけないことはたくさんあったのに、それを忘れただ真の言葉に静かに耳をかす。
「昔の人はそれが一番きれいやって言ってるんやからすごいよな!」
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