「あ、満月」

「え?」

人が真剣に話しているのにこの男は…。そう思いながら夜空を見上げてみる。

「現代人ってさ満月が一番きれいやと思ってるけど、昔の人は三日月が一番きれいやと思ったんやって」

「……ふーん」

「俺は三日月のが好きやな〜。人間とそっくり」

「なんで?」

「誰でも欠点はあるし、でもそれやから面白いやん?そこが三日月に似てるから」

言わなくちゃいけないことはたくさんあったのに、それを忘れただ真の言葉に静かに耳をかす。

「昔の人はそれが一番きれいやって言ってるんやからすごいよな!」

< 40 >

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム