最後に、やっぱりよく分からない人だと思った。
あれから私は普通の日常を送っている。やっぱり、学校は息が詰まるからやめてしまったけど、バイトをしたりごく普通に過ごしている。
違ったことと言えば、あれ以来ビルの屋上に男が現れなくなったことだ。
何度か足を運んだのだが、会えることは一度としてなかった。
当たり前だ。
あの人は、もうこの世にいない人だったのだから…。
今でも、あの男のことは忘れない…。きっとこれからも。最後に見せたあの一度きりの笑顔が、とても印象的だった。
END
【あとがき】
ある日、お母さんが家の掃除をしていた。珍しく手伝った私はある二年前の新聞の記事に目がとまった…。
『〇月△日、×××ビルの屋上から男子高校生転落。自殺と推定。原因は分からず………………』
あのビルだった。私はあの男の言動を思い返した。
「あぁ、なるほどね」
< 9 >
[1]次へ
[2]戻る
0]目次
Tag!小説
トホーム