―由加視点―
あっ…。忘れた!
気がついたのは、家についてからだった。
鞄…藤咲さんの家に忘れてきた…。
取りにいかなきゃ…。
でも、戻りにくい。
だって、私は確実に藤咲さんを傷つけてしまったからだ。
ずっと無理して笑ってくれてた。
『由加なら大丈夫』
なんて励ましてもくれたし。
辛いなんて、一言も言わないのはきっと気を使ってたんだ。

そぅ。
藤咲さんも春樹君が好きなのだ。
私と同じように。


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