「…捨てられた」
自分でもびっくりするくらい、あっさりと答えた。
今まで、誰にも言ったことがなかった。
…一人を除けば。
「えっ…親に?」
女は信じられないという表情で聞いた。
「そぅだょ」
女は同情するのかと思ったら、笑いはじめた。
「わかった!だから、あんなこと言ったんだ」
あんなこと…?
あぁ…あれか。
『親なんていらない』ってやつ…。
「…でも、あたしは親がいたら幸せだと思うけどなぁ…」
「親にもいろいろあるんだょ。」
「え?」
「だから…こんな風に子どもを捨てる親もいるし…」
「大事にする親もいるってことか…」
女は少し同情した目をした。
そして言った。

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